脳科学の基礎12「習慣と行動変容」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU 

  • 2020.01.22 Wednesday
  • 00:14

習慣とは…

・後天的に獲得された個体の反応様式

・刺激に対して自動的に触発されやすく、変化の少ない一定の形を持つことが多い

・条件づけ、知覚障害運動により習慣化されると考えられる

・習慣と言われるまで自動化し定型化するためにはかなり多回数の反復が必要である

 

スキルを獲得するまでには10000時間を要すると言われているが、習慣はスキルとは異なり、生活を変える行動変容という意味である。

 

大学生96人を対象に行った研究により、今まで生活の中に組み込まれていなかった新しいことを始めてもらい、不快がなく習慣化したと思うかどうかの報告をしてもらった。対象者の95%が習慣化するまでにかかる日数の中央値は66日であった。「毎朝水を飲む」は最もハードルが低く、習慣化するまでに18日、「運動をする」は最もハードルが高く、254日かかり、行動においてばらつきがあることがわかった。

 

習慣に向けた行動変容の心理的段階

ステージ変容理論(ジェイムス・プロチャスカ)

1無関心期…行動を起こす負担ばかり感じている、共感的態度が必要、質問してきたら情報提供をする、上下関係はない

2関心期…アンビバレンスな心理状態、前向きな発言を引き出していく、動機付けに強化する、インセンティブやトークンの付与

3準備期…決意表明、自己効力感の強化が重要、自分でスケジュールを決めさせる、心理的ハードルを下げる

4実行期…行動を変えて6ヶ月以内の対象者、変化に適応していない、自己効力感を高めるとともに継続できるような強化因子を付与

5維持期…6ヶ月以上たち、行動実行が普通になる時期、自ら解決し行動を継続していく、サポートを必要としなくなる時期、逆戻りした場合はステージ3から学びなおす

 

インセンティブやトークンの付与について

運動行動の動機付けに効果的なインセンティブは、運動行動変容ステージやインセンティブの内容によって異なる。各行動変容ステージにおける動機強化得点の高いインセンティブは現金、商品券、旅行券であり、各行動変容ステージの運動取組動機率が50%に達するインセンティブ希望額は、無関心期が2000円、関心期が1000、準備期&実行期が1500円、維持期が500円であった。

 

自己効力感の強化方法

1達成体験

2代理体験…誰かができたという体験

3言語的説得…プロから貴方ならできると言われる

4生理的情緒的調整…気楽にやりましょうと促す

 

実行に対する負荷と前頭葉の活動

前頭葉には運動を維持することに関わる部分がある。筋トレで辛くなってくるとき、酸素の供給が追いつかず筋肉細胞は低酸素化する。前頭葉の酸素のないヘモグロビンが増える。つまり前頭葉が働いている。

活動が変化するということは、脳の白質、灰白質の構造に変化が起こっている。有髄している神経の変化。逆に廃用が進むと消失変化していく。

 

習慣と行動変容

1どのくらいの日数が必要なのか

 中央値66日 課題により異なり個人差も大きい

 

2習慣をつくるまでの心理的な変化

 ステージ変容理論(ジェイムス・プロチャスカ)

 

3習慣化する際には何が起こっているのか

 前頭葉の活性化、使用するための脳構造の変化

 

4具体的なプログラム

 EASEプログラム行動変容を促す技法

 

EASEプログラム

Encourage autonomous self-enrichmentの略でEASEプログラムを日本語にすると「自主的な自己涵養促進プログラム」であり患者が自分を豊かにすることを促進するプログラムのことである。透析看護領域を中心に活用されている。代表的なものとして透析患者10人に対してEASEプログラムを行った結果、65%患者の水分摂取行動が改善したという報告がある。

 

EASEプログラムの手順

ステップ1 医療内容の妥当性を含めたアセスメント

ステップ2 困難事の明確化と解決意義の確認

ステップ3 行動目標の設定と自己効力の確認

ステップ4 技法の選択

ステップ5 実施

ステップ6 評価・考察

 

EASEプログラムの技法と特徴

(セルフマネジメントにおけ行動変容を支援するEASEプログラムより引用)

 

歯科では歯周基本治療にプラークコントロールがあります。これは患者さんご自身が毎日口腔内のお手入れが必要です。今まで口腔内に関心がなかった患者さんが関心を持ち、お手入れを習慣化することが歯科的行動変容と言えます。歯科衛生士は患者さん個人を理解し、常に患者さんに合わせた行動変容を促す能力が求められます。中々難しいことですが、行動変容により患者さんの歯や全身の健康が維持向上できる歯科衛生士が更に育成されることが、国民の病気の早期発見や予防につながるのではないかと考えます。

 

 

「加熱式タバコの実態」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU 

  • 2020.01.13 Monday
  • 21:38

2015年に世界保健機関(WHO)は喫煙により全世界で年間540万人(国内では13万人)が死亡している、受動喫煙では年間60万人(国内では6800人)が死亡していると推計し、警告しています。

2017年、国民健康・栄養調査によると成人喫煙率は17.7%(男性29.4% 女性7.2%)で経年的に減少しています。総人口約1億2669万人のうち、成人喫煙者はおおよそ2割(2000万人)となります。

 

WHOは喫煙の規制に関する国際協力について定める「タバコ規制に関する世界保健機関枠組条約」(Framework Convention Tabacco Control FCTC)を2005年に発効しました。地球規模で「タバコ消費やタバコにさらされることによる健康、社会、環境及び経済に及ぼす破壊的な影響から現在及び将来の世代を保護する」ため、タバコに関する広告、包装上の表示等を規制し、脱タバコ対策を急速に進めようとしています。しかし、日本は2004年にFCTCに同意した国でありながら、飲食店等の禁煙化が急速に進んでいません。2020年にタバコのないオリンピック・パラリンピック成功に向けて、日本学術会議禁煙推進学術ネットワーク日本禁煙学会等から受動喫煙防止条例制定の要望が繰り返しされました。その結果、2018年に東京都が「受動喫煙防止条例」を可決、日本政府が「改正健康増進法」を可決し2020年春の施行を目指して検討を進めているそうです。

 

2014年以降、煙の出ない煙の見えにくい「非燃焼加熱式タバコ」が次々と販売され、新たな健康へのリスクが懸念されています。

電子タバコ」はタバコの葉を加熱してその蒸気を吸引する製品です。

加熱式タバコはニコチン等が入ったリキッドを加熱し、その蒸気を吸引する製品です。

これらの製品は「健康リスクが少ない」「受動喫煙の危険がない」と誤認されやすい実態にあります。

 

(歯周治療における禁煙支援の手順書より引用)

 

加熱式タバコはフィリップス・モリス・インターナショナルの「アイコスiQOS」、日本たばこ産業の「プルーム・テック」、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」の順で市場に出回り日本中で販売され、今後も新たなタイプが現れると予想されます。現時点では、加熱式タバコに起因する健康障害や歯周病に関する報告はありません。しかし、加熱式タバコは従来の紙巻きタバコと同様にニコチンによる依存があり、発がん物質を含む有害物質を含んでおり、使用者及び、周囲の人々に健康障害を及ばします。世界のテストマーケットとして三大タバコメーカーが相次いで導入したこともあり、加熱式タバコの世界市場の90%以上は日本が占めているとのこと。加熱式タバコは世界の中心的な試験的市場である日本における前向き実験のさなかにあります。

 

タバコ会社の「健康リスクが少ない」「受動喫煙の危険がない」という誤った宣伝効果から、従来の紙巻きタバコより大丈夫と過信して安心して使用することは大変危険です。

他にも、製品を燃焼することなく使用し、鼻や口との直接的接触により使用する無煙タバコがあります。口腔用の無煙タバコは口腔内の口唇や頬粘膜と歯肉の間に長時間留置して吸引して噛んだりして使用します。スウェーデン製の「スヌース」はJTが2013年から大阪市で限定販売を始め、2017年から全国で販売しています。

 

(歯周治療の指針2015より引用)

 

喫煙は歯周病を重症化させる因子です。口腔がんの発生にも関与し、口腔疾患との関連が強く患者にも認知されやすいです。また、歯科医療においては口腔清掃指導のような患者の行動変容を期待する対応が盛んに行われる場所です。歯科医師や歯科衛生士が介入しやすい環境が備わっています。歯科での禁煙支援がこれかも期待されています。

タバコから患者さんだけでなく、その周囲を守るため歯科医院における禁煙支援をはじめとした歯周基本治療が大切です。

「お餅 窒息の応急処置」 東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU 

  • 2019.12.28 Saturday
  • 08:10

昨日で当院は仕事納めとなりました。夕方からスタッフ全員でお食事会へ。

今年も未熟な私を毎日助けて頂きありがとうございました。早いもので、イリタニオフィスに入社してから10年が経過しました。変わらず当院でお仕事させて頂けるとことに感謝の気持ちでいっぱいです。どうぞ来年も宜しくお願い致します。

 

当院は本日から1月3日まで休診となります。年始は1月4日(土)から診療しております。

 

 

さて、お餅による窒息事故が増える年末年始、窒息時の応急処置についてお話ししてみたいと思います。

とある研究によると、日本は食事中の窒息事故が多いそうです。気道異物による窒息死が年間約1万人報告されています。これには、環境要因、飲み込みの解剖学的要因が関係しているのではないかと言われています。超高齢社会も関係していそうです。

 

米国心臓協会(AHA)のガイドラインによると、食事中の窒息事故の応急処置として、腹部突き上げ法、背部叩打法、胸部突き上げ法を推奨しています。

 

腹部突き上げ法(ハイムリック法)

スクリーンショット 2019-12-28 08.02.00.png

日本医師会救急蘇生法より引用

 

 

背部叩打法

スクリーンショット 2019-12-28 08.03.26.png

日本医師会救急蘇生法より引用

 

 

胸部突き上げ法

スクリーンショット 2019-12-28 08.05.38.png

こどもの救急より引用

 

 

米国赤十字「five and five」

スクリーンショット 2019-12-28 08.08.00.png

背部叩打を5回おこない、気道閉塞が解除できなければ腹部突き上げを5回、それぞれ繰り返す方法を推奨しています。

 

掃除機を使用する応急処置は禁止ではありませんが、掃除機のノズルを挿入する際、歯が折れたり、咽頭を傷つけたりする可能性があるので十分注意が必要です。

 

窒息しないように小さめにお餅をカットするのもオススメです。ご参考までにどうぞ。

それでは、良いお年をお迎えください ^^

 

 

 

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