「病草紙 歯の揺らぐ男」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士Yu

  • 2019.01.10 Thursday
  • 15:25

歯の揺らぐ男(Wikipediaより引用)

 

「おとこありけり、もとよりくちのうちのは、みなゆるすぎて、すこしもこわきものなどは、かみわるにおよばず。なまじいに、落ちぬくることはなくて、ものくふ時は、さはりてたえがたかりけり」

 

「この男は歯が緩んでしまい、それでいて抜けるわけでもない。固いものは噛み割ることができず、食事のたびに気になってしょうがないというのである」

 

男は口を大きく開け、指で歯をつまんで訴えています。これは歯の二大疾患の1つである歯周炎です。

 

歯の組織である歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質に現れる全ての病変を歯周病といいます。

一般に歯周炎は歯肉の炎症が歯の植立を支えている歯周支持組織、つまり歯根膜や歯槽骨まで波及してこれらの組織が破壊したものです。歯周炎には根端性歯周炎と辺縁性歯周炎があります。

根端性歯周炎は歯根の先端部の炎症で、原因には、う蝕による歯髄から続発した細菌感染、歯ぎしりなどによる咬合性外傷、全身性感染症などがあります。症状は人により様々で間欠性なもの、持続性のもの、刺激された時だけ起こるものなどです。

辺縁性歯周炎は歯周ポケットに住み着いた細菌が主要な原因となって起こる慢性の炎症性疾患です。健康な歯周ポケットは器具を挿入しても1〜3mmまでしか入りません。しかし、炎症があると5mm、10mmと根尖方向に入っていきます。

病理組織学的には、次のような経過をたどります。

まず、歯垢(プラーク)が歯に付着します。プラークは細菌の塊です。この段階で上皮付着部、歯肉溝に少数の好中球がみられるようになります。プラークが付着してから2〜3日経つと好中球の浸潤が著名になります。1〜2週間経つとリンパ球が浸潤し、2〜3週間

経つと形質細胞が多くなります。そして3週間以降はマクロファージの浸潤が目立つようになります。

辺縁性歯周炎はレントゲン写真で歯槽骨頂部の白線がぼやけて見える程度の骨吸収が始まった軽度なものから、病変が辺縁歯周組織から、根尖部にまでおよび、やがて歯の自然脱落が起こる末期的なものまであります。この間、慢性に進行して痛みを伴わず歯肉からの出血、歯周ポケットの形成、排膿、歯の動揺などの症状が現れ、咀嚼機能が損なわれ、ついに歯が脱落するという経過をたどります。

 

歯は歯根膜によって歯茎部歯肉および、歯槽骨に繋ぎとめられています。歯根膜の大部分が膠原線維と結合組織から構成されています。歯根膜の膠原線維をシャーピー線維といいます。この膠原線維は弛緩した時、波状になっていて伸展性に富み、歯に外力が関わった時、歯や、歯槽骨にかかる力を和らげるクッションの役目を果たしています。そのため歯は外力が加わるとわずかながら動揺します。(生理的動揺) シャーピー線維が過度に緊張すると痛みが出て警告を発します。

辺縁性歯周炎では接合上皮の破壊に伴って歯周ポケットが形成され、潰瘍の形成も認められます。さらに炎症は歯根膜、歯槽骨に波及し、歯根膜線維の断裂や消失がみられます。歯周炎による歯根膜の性状変化や歯槽骨の吸収があると、歯の動揺が著名になり、病的動揺を示します。病草子に描かれた病人にも歯の動揺がありました。

 

歯槽骨を吸収するのは細菌ではなく、私たちの体が産生する破骨細胞です。慢性の炎症がある局所からプロスタグランジンE2という炎症のケミカルメディエーターが産生され、プロスタグランジンE2が破骨細胞を活性化し、歯槽骨の吸収を招きます。歯周病は沈黙の病気であり、一度吸収した歯槽骨は基本的には元の状態には戻りません。

 

虫歯や歯周病は症状が顕著になってから発見するのは歯科医療従事者にとって容易なことです。しかし虫歯や歯周病が顕著になる以前に、将来的に虫歯や歯周病が起こりそうだと見つけることが早期発見、早期予防というのではないでしょうか。歯科衛生士の仕事は虫歯や歯周病の予防処置です。それにはプラークを除去してお口の中を綺麗にすることだけでは不十分です。患者さんの将来を見据えて口腔内を見れる歯科衛生士になれるよう日々特訓中です。

 

ご参考までにどうぞ^^

 

 

 

 

 

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