日本では、2014年成立の難病法において「発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少な疾患であって、長期の療養を必要とするもの」と定義されています。また医療費助成の対象となる指定難病の要件には、これに加えて「患者数が本邦において一定の人数 (人口の約0.1%程度)に達しないこと、客観的な診断基準が成立していること」が加わります。指定難病は概ね希少疾患と重なる概念といえます。
現在、希少疾患として約10000種類の疾病が存在すると考えられています。指定難病には、2021年7月1日施行時点で338の疾病が指定されています。また日本国内で未診断の状態にある希少患者数は2018年の報告では少なくとも37000人以上と見積もられています。このように、難病・希少疾患は決してまれな疾病ではないのです。
しかしながら、希少・難治性疾患は、患者数が少なく病気のメカニズムが複雑なことから、診断がついても対症療法を超える医学的対応ができなかったり、治療薬の研究が進まない、生命予後が悪く治療法がないなどから、患者さんやご家族に大きな不安をもたらすことが考えられます。私たちが今できることは「希少・難治性疾患」を知ることです。
希少・難治性疾患に指定に指定されている「低ホスファターゼ症」は遺伝子の変異異常によって、骨や歯の石灰化障害や全身に様々な症状が現れます。症状のなかで1〜4歳頃の「乳歯の動揺・脱落」は特徴的な症状で、歯科医院で発見され、小児科に繋がることがあるそうです。 ご参考までにどうぞ。
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肥満とは、身長に比較して体重が重い「状態」をいい、病気を指す言葉ではありません。体格指数(BMI=体重[?]/身長[m]2)が18.5以上25未満であれば普通体重、18.5未満なら低体重(やせ過ぎ)、25以上の場合が肥満に分類されます。さらにBMIが35以上になると高度肥満に分類されます。
肥満(BMIが25以上)で、肥満による11種の健康障害(合併症)が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合は、「肥満症」と診断され、減量による医学的治療の対象になります。BMIが35以上の場合、高度肥満症となります。
一方で、「低体重」の危機に直面している国の数は減少していましたが、最貧困層のコミュニティーにおいては大きな問題となっています。成人の肥満に比べて、低体重が顕著だった国はハイチ人の男性と日本人の女性です。
先進国で低体重が目立つ国は唯一日本の女性だけだったことが指摘されています。この理由については、「日本人女性の体重の自己認識が、実際の体重よりも多く、それが『望ましい』体重より多い」と考えるケースの影響ではないかと指摘されて今ます。女性の低体重は、不妊、骨粗鬆症、耐糖能障害、低出生体重児などの原因になると考えられているので注意が必要です。
BMI19の普通体重の私は、海外の女性に会うといつも「ちゃんと食べてる〜?」といわれます。日本の中では中肉中背な体型ですが、世界から見ると日本人女性の体重の自己認識はちょっとずれているのかもしれません。
また、肥満や低体重と、口腔機能・摂食嚥下障害の関連も注目されています。機能する歯がなかったり、飲み込む力が弱いと食生活が偏ってしまい肥満の原因になると考えられています。逆に思うように食べれないことで低体重に繋がることもあります。日頃から歯のメンテナンスに通院することが大切です。ご参考までにどうぞ。
]]>「口角炎」はビタミンなどの欠乏で発症しやすくなるといわれています。欠乏する原因として胃腸障害、抗生剤の服用、ストレス、肝障害などがあります。臨床症状、細菌検査でカンジダが陽性となった場合は、局所塗布用のフロリードゲルなどが処方されます。
また、口唇ヘルペスは口角炎と症状が似ていますが、左右対象の口角に発症することはまれで、やや上下にずれることが多いそうです。また水泡形成が認められることが特徴です。
〜口角炎が発症する要因〜
「組織の脆弱性」
口角炎の発症にビタミン不足やストレス、ホルモン異常などの関与が指摘されています。特に、ビタミンB2、B6が不足すると皮膚・粘膜の局所の免疫機能や細胞の維持機能の破綻を来しやすく口角炎が生じやすくなると考えられています。ビタミンB2が不足する要因として、極端なダイエット、肝疾患、糖尿病がなどがあります。また、抗生物質のテトラサイクリンたペニシリンや経口避妊薬の服用があります。
ビタミンB6が欠乏する要因として、アルコールを多量に飲んでいる人では、アセトアルデヒドがビタミンB6の活性型の分解を促進するため欠乏しやすくなります。また肝障害を合併している場合に多く見られます。細胞維持機能が低下巣て口角亀裂が生じやすいことや、局所免疫機能の低下で感染が容易となる条件が揃うと考えられています。
「口角亀裂への感染」
若年者は口角炎の部位から、扁桃炎や咽頭炎の細菌が検出されることが多く、高齢者では、カンジダ菌が原因となることが多いと考えられています。また、外耳道や鼻の炎症のある高齢者では、MRSAも認められるケースもあったそうです。(29歳以下の年齢では病原菌は主疾患の病原菌と同じであることが多く、30歳以上では口腔乾燥症やストレス性疾患が多くみられるそうです。また細菌検査では、60歳以上の人の約35%からカンジダ属、約19%からMRSAが検出された)
先日、通院されている患者さんから、1週間ほどお酒をやめたら、ずっと続いていた口角炎が治ったというお話しを聞きました。もしかするとアルコールの摂取によって、ビタミンB6欠乏が起きていたのかもしれませんね。また、当院@イリタニオフィスでは口腔カンジダ菌の検査を行っています。ご参考までにどうぞ。
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先日、当院にメンテナンスに来ていただいている患者さんの前歯部にフィルテルが認められ、歯科用CBCTで撮影したところ、歯の内部吸収が認められました。
患者さんはその歯をほとんど削らないで治療してほしいとのことでした。また他院で歯冠を削らず治療をした症例があると教えていただきました。確かに、その症例は歯冠を残して根管治療を行っていましたが、一番咬合の負担のかかる犬歯が数年後、力の応力に耐えられているのわからないな〜と思いました。
歯科医院を探すときに重要なことは、歯科用マイクロスコープや歯科用CBCTがあることでなはく、それを使う歯科医師や歯科衛生士の技術や鋭い観察力があることです。さらに一番大切なことは同じ歯科医院に通い続けることです。治療前の歯の状態や治療過程を見てきた先生に、治療した後もその歯をずっと見てもらうことが大切です。ご参考までにどうぞ。
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・オセルタミビル(タミフル®、オセルタミビル®︎)
全世界で使用され最もエビデンスのある薬剤です。海外での成人及び小児において、罹病期間短縮、合併症防止が証明されています。オセルタミビルの内服により、消化器症状として下痢は減少しますが、嘔気、嘔吐が増加します。低年齢小児のB型インフルエンザでは、オセルタミビルの効果が減少したことが報告されています。一方、10歳前後の小児では、オセルタミビルとザナミビルの効果について有意差はなかったとのことです。
・ザナミビル(リレンザ®︎)
ザナミビルは、外来で48時間以内に治療を開始した場合には、成人の罹病期間の短縮、症状の軽快が証明されています。健康な小児では、罹病期間の短縮を認めましたが、合併症防止の有効性は証明されていません。B型インフルエンザには、ザナミビルの効果が高いとする報告があります。重症例や肺炎や気管支喘息の合併例では、吸入の効果は限定的あるいは気管支撃箱を惹起する可能性が考えられるため避けるべきです。ザナミビルは、現在まで耐性の報告はほとんど見られません。
オセルタミビルとザナミビルの併用も検討されましたが、単独よりもウイルス学的および臨床的に効果が低下することが報告されています。原則としてノイラミニダーゼ阻害薬同士の併用は避けるべきとされています。
・ラニナミビル(イナビル®)
ラニナミビルについては、HIN1ソ連型の流行時に、成人でオセルタミビルへの非劣性が確認されています。しかし小児では、ラニナミビル治療群はオセルタミビル治療群に比して、60時間以上短縮して有効性が著明に高い結果が得られたそうです。ラニナミビルは、海外試験においてプラセボと有意な有効性が得られなかったことにより海外での発売が中止となり、使用できるのは日本のみとなっています。その後臨床的有効性が継続していることが報告されています。確実に吸入ができれば、1回の治療で完結できます。
ご参考までにどうぞ。
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世界の流行状況は、2023年第5週時点においてA型が約94%を占め、そのうち亜型まで同定された株ではA/H3が約70%でした。B型はすべてビクトリア系統でした。山形系統は、弱毒生ワクチンに含まれていた山形系統のウイルスの検出であり自然界で流行しているウイルスは確認されませんでした。
また国内では、約95%がA/H3でした。国立感染症研究所では世界保健機関(WHO)ワクチン推奨株選定会議で議論された流行株の解析成績、令和4年度ワクチン接種後のヒト血清抗体と流行株との反応性、およびワクチン製造候補株の製造効率などを総合的に評価して令和5年度のインフルエンザワクチンをA型2株およびB型2株を選定されたそうです。ご参考までにどうぞ。
インフルエンザの感染対策は手指消毒、マスク、ワクチン接種が重要です。
A型株
・A/ビクトリア(H1N1)
・A/ダーウィン(H3N2)
B型株
・B/オーストリア(BVR-26)(B/ビクトリア系統)
・B/プーケット(B/山形系統)
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当院にも「歯科用コーンビームCT」があります。患者さんが歯の違和感や、痛みを訴えられた時、視診、触診、温度診、口内法X線撮影、歯科用顕微鏡での確認などと一緒に「歯科用コーンビームCT」を撮影することがほとんどです。他の診断では確認できなかったことが、CTの画像診断によって原因がわかることがあります。
では、2021年歯科衛生士国家試験に出題された問題をご紹介させていただきます。
問題
65歳男性。上顎左側中切歯の精査を行うためにエックス線写真を行った。撮影したエックス線写真をいかに示す。この画像が得られるのはどれか。1つ選べ。
(グッピーズ歯科衛生士より引用)
a 磁気共鳴装置
b 口腔内エックス線装置
c 歯科用コーンビームCT
d パノラマエックス線装置
正解はc 歯科用コーンビームCTです。
a 磁気共鳴装置は、MRIのことです。
d 歯科用コーンビームCTは歯、顎、顔面用に最適化されたCTで、様々な方向の断層像を3次元的に提供できることが特徴です。
〜歯科用コーンビームCT開発の歴史〜
口内法X線撮影は、重積像であることから複雑な歯や歯周組織の解剖学的な構造を3次元的に診断するのは困難でした。1972年X線CT(Computed Tomography)の開発に成功し、1980年代になると歯科大学病院へ医科用CTが普及していきました。これにより広範囲の炎症や腫瘍の3次元的な診断が可能となり、的確な診断と治療が行われるようになりましたが、微細な歯や歯周組織の観察に最適化されているとは言えませんでした。
このような問題を解決するために、1990年代後半から新井先生方は歯科用コーンビームCTの研究を開始し、撮影領域を小さくすることで高画質と低被曝を両立する歯科用コーンビーム CTの開発を行い、1998年には日本大学歯学部付属歯科病院で臨床研究が開始されました。
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歯髄炎をそのまま放置しておくと歯髄壊死となり、神経が死んでいるので温度刺激による痛みはなくなります。また強く歯を打ったりすることで歯が歯髄壊死となることもあります。症状は温度を感じない、歯の色が変わってくるなどです。
歯髄壊死をそのまま放置しておくと歯槽骨の中まで炎症が進行し、根尖性歯周炎となります。レントゲンやCBCTで根尖に透過像が認められるようになり根尖病変といいます。噛むと痛い、膿が出る、たまに強い痛みを感じることがあります。歯髄壊死すると、歯髄を取り除く根管治療が必要になります。
さらに一度根管治療した歯も、根管内に残存していた細菌が原因で再感染することがあります。最初の根管治療でできる限り無菌的な治療を受けることが、歯の寿命に大きく左右します。ご参考までにどうぞ。
当院で行なった根管治療によって根尖病巣が消失し歯槽骨が再生された症例が紹介されています。ご興味ある方はどうぞ
→Iritani Osamu(@dent_photographer) • Instagram写真と動画 instagram.com
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感染根管の治療は、いわゆる「歯の根っこ」の中をきれいにする治療を行います。これを根管治療といい、根管内の歯髄腐敗分解産物や細菌などを取り除きます。また、抜随後の根管壁には象牙芽細胞などの歯髄残遺物や未石灰化の象牙前質が存在していています。これらを除去せずに放置すると、栄養源として根管内で細菌が増殖するため除去する必要があります。 根管内の歯髄残遺物や腐敗分解産物を除去する方法としては、器具で根管壁を切削する機械的な拡大(機械的清掃)と薬剤により溶解、除去する化学的な清掃拡大(化学的清掃)が行われます。また、根管は解剖学的に狭小で複雑なため、細部に細菌が残存する可能性があり残存する細菌をできる限り減らすため根管の消毒が必要となります。根管治療により無菌となった根管は、細菌などが再び侵入し、増殖するのを防ぐため、最終的に緊密に封鎖する必要がます。これを根管充填といいます。 根管充填が終了し、しばらくすると無菌状態になった根管の尖端の部分の歯槽骨が回復し、新しい骨で満たされます。これを歯科用CTで確認することで、治癒したといえます。ご参考までにどうぞ。
当院の根管治療はこちらの院長のInstagramへどうぞ
Iritani Osamu(@dent_photographer) • Instagram写真と動画 instagram.com
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唇側面からみた下顎中切歯です。
舌側面からみた下顎中切歯です。唇側面と比較して、歯石と着色が多く付着していることが確認できます。
手用スケーラーを使用して歯石を除去し、エアーポリッシャーを使用して着色を除去しました。
ご参考までにどうぞ。
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手用スケーラーを使用して、歯肉を切らないよう、歯石だけ除去していきます。
少し透明でわかりにくいですが、除去した歯石が見えますでしょうか?
歯石が付着していることで、炎症が起こっているので歯肉溝上皮から出血はありますが、角化した歯肉は傷つけることなく、歯石を除去しました。歯石を除去する際は、歯牙や歯肉を傷つけることなく、除去することが大切です。
ご参考までにどうぞ。
]]>前回のメンテナンス時「食べ物が詰まってしまうが、この部分に歯間ブラシを入れようとしても入らない」とおっしゃっていました。人工歯とその隣の歯の部分にべったりとプラーク(歯垢)と歯石が付着していることがわかります。
〜4ヶ月前に来院された時の口腔内〜
〜今回の口腔内〜
毎日、ご自身で歯間ブラシのお手入れができるようになり、歯面にプラークや歯石はほとんど付着していません。
歯科用マイクロスコープで拡大すると歯石が付着していることが確認できます。
手用スケーラーを使用して、歯石を除去します。
最後に、人工歯に付着している着色をエアーポリッシングを使用して除去します。
着色除去後です。
患者さんが行うセルフケアは、私たち専門家が行うプロフェショナルケアより重要と言っても過言ではありません。患者さんのセルフケアがスムーズにできるよう、歯科衛生士が行うメンテナンス時には、患者さんの口腔内の細菌量をできる限り減らし、さらにプラークや歯石が付着しにくい口腔内にすることが求められます。ご参考までにどうぞ。
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