「歯周病(炎症)・歯牙欠損(咀嚼機能低下)と認知症」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU

  • 2018.01.18 Thursday
  • 21:45

歯周病が全身疾患などのリスク因子になる可能性があることをご存知ですか

現在までに歯周病が糖尿病、心血管系疾患、誤嚥性肺炎、細菌性心内膜炎、敗血症などのリスク因子になる可能性が報告されています。歯周病が全身に影響を与えるメカニズムとして

1、口腔内局所の歯周病原菌や菌体成分が血行性あるいは経気道的に標的臓器に到達し直接作用する経路。

2、歯周病局所の免疫、炎症反応により産生されるサイトカインなどが血行性に標的臓器に到達し作用する経路。

が考えられています。同様に歯周病、歯牙欠損が認知症の発症に関わっていることを示す疫学研究が多くあります。しかし、歯周病の起因細菌が血液中に侵入することを示すエビデンスは多数存在しますが、歯周病がどのような分子機構で認知症発症に寄与しているのかは、十分には明らかにされていません。また、歯牙欠損に伴う咀嚼機能低下に起因する認知機能障害についてはほとんど解明されていません。

炎症とアルツハイマー病

アルツハイマー病の病態は脳内炎症がアミロイドβタンパク質に代謝、蓄積などに影響される一方で、アミロイドβタンパク質沈着が逆に炎症を惹起させ、シナプス障害や神経細胞障害を進めるとされています。ミクログリアは中枢神経内における免疫エフェクター細胞といわれ、貪食能などをもつ自然免疫反応において重要な役割を果たします。アルツハイマー病などの神経変性疾患においても、アルツハイマー病の病原因子であるアミロイドβタンパク質を貪食し、脳内から除去する機能があると考えられています。また、ミクログリアは炎症促進、抗炎症作用のあるメディエーターを放出、受容体も発現していると考えられています。ミクログリアにおけるこれらの炎症性分子の発現と受容体発現により、アルツハイマー病などの神経変性が促進することが明らかになっています。炎症とアルツハイマー病との強い関連性が示されています。

脳内炎症とは別に、軽度の全身性の炎症が認知機能低下や海馬の容積の低下に相関する、アルツハイマー病のリスクを増大させるという研究がありますが、全身性の炎症が脳内に波及する経路はよくわかっていません。

歯周病とアルツハイマー病分子状態

全身性の慢性炎症反応が持続する疾患の一つが歯周病です。

歯周病の炎症部位から放出される炎症性サイトカインが血流によって標的細胞や、細胞に運ばれ炎症が波及することで、全身性の炎症が認知機能低下や海馬の容量の低下、アルツハイマー病発症のリスクを増大させると考えられています。歯周病による心内膜炎や脳膿瘍などの発症は、歯周病菌が体循環系に入り他の臓器に伝播することによると考えられています。また、歯周病は血管内皮の機能障害を引き起こすこと、糖尿病や心血管系、腎疾患にも関連することが報告されています。歯周病が他の臓器や疾患に影響する経路として以下の経路が考えられます。

1)歯周病菌の直接伝播

歯周病菌が血流や口腔・気道を介して脳、腎、肺血管などに直接伝播し、毒性因子を放出する経路。

歯周病の炎症部位から放出される炎症性サイトカインが血流によって標的臓器や細胞に運ばれ、炎症が波及する経路。

歯周病菌は嫌気性グラム陰性菌であり、エンドトキシン・LPSレベルが高く炎症性サイトカインの活性を上昇させると考えられる。

2)神経経路を介した影響

LPSの口腔内投与により、局所的にプロスタグランジンが産生され局所の発熱をもたらし、三叉神経を介して脳内にシグナルを送っている可能性があったとされる研究があります。歯周病が神経経路を介して中枢神経系に影響を与えていることを示しています。

3)歯周病と歯牙欠損

歯周病が歯牙欠損の最も大きな原因です。歯牙欠損はアルツハイマー病の危険因子であるとされています。しかし、歯周病は炎症疾患であり、歯牙欠損は炎症を伴いません。どちらも咀嚼の低下が生じ認知機能低下との関連が指摘されていますが、区別して考える必要があります。歯周病に罹患させたマウスの実験では、明らかに認知機能の低下が認められ、脳内にアミロイドβタンパク質の優位な増加を確認しました。脳内のエンドトキシン、サイトカインレベルの上昇を認めました。歯周病による慢性炎症では、炎症が脳内に波及し脳内アミロイドβタンパク質レベルをあげ認知機能障害を誘導したと考えられます。

抜歯により咀嚼機能を低下させたマウスの実験では、アルツハイマー病分子病態には影響しませんでしたが、海馬神経細胞の現象を伴って認知機能低下が誘導されていました。抜歯したマウスの方がより早期から認知機能低下が明らかになりました。咀嚼機能低下が誘導する認知機能障害については三叉神経系の入力シグナル低下や咀嚼筋運動そのものの低下などの可能性があります。

歯科疾患と認知機能を含む脳機能との関係は、歯周病、歯牙欠損の他にも咬合不全などとの関連も指摘されています。口腔機能と脳機能は深い関連があると推測できます。

みなさんは自分の口腔内がどうなっているか知っていますか。口を開けて鏡を見るだけでは歯周病かどうかはわかりません。歯周病は歯周ポケットの中で起こる体の内側の病気だからです。早期発見が歯周病による歯牙欠損を防ぎます。歯肉は全身の鏡です。定期的に歯科医院で歯肉の状態、口腔環境、また全身状態を診てもらうことで歯周病、また全身の病気から自分の体を守ることができます。

ぜひ一度、自分のお口に興味を持ってみていただけると幸いです。

「薬物耐性獲得の機序」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU

  • 2018.01.14 Sunday
  • 21:50
薬物は多くの場合、連用し反復投与を行うことによりその薬理作用を確実に生体に及ぼすことができます。1回の薬物投与では作用の持続が数時間の場合がほとんどであり、持続的な薬物効果を期待することができません。適当な間隔をおいて反復投与を行うことにより、薬物血中濃度が維持されて、薬理作用を持続させることが可能になります。薬物を連用し反復投与する際には、生体が長期間、薬物の影響下に置かれることを考慮して細心の注意を払う必要があります。

耐性(tolerance)
薬物を反復投与していると、生体の反応性が次第に弱まり、同じ投与量を適用しても以前と同様な効果が現れなくなり、投薬を始めた時期と同程度の薬理効果をもたらすには投与量を増加しなければならない状態になります。これを「薬物耐性が形成された」といいます。類似の化学構造または作用を有する薬物にも同時に耐性が見られることが多く、これを交差耐性といいます。薬物投与前に先天的に耐性が生じている場合があります。これは遺伝子的に薬物感受性や代謝、排泄機能に多型型があるのが原因で先天的耐性といいます。

抗感染症薬 耐性獲得の機序
抗感染症薬は使用当初に画期的な効果を発揮していても、長期間広範囲に使用するうちに効果が減弱し最終的には効果がなくなることがあります。これを「耐性」化といいます。耐性獲得には自然耐性と獲得耐性の2種類があります。前者は抗感染症薬が使用される以前から耐性を示していた固有の菌種で不感受性菌ともよばれるものです。後者は抗感染症薬に接触しているうちに突然変異や耐性遺伝子の獲得によって示すようになったものです。また、ある種の薬物に対して耐性を獲得した菌に別の薬物を使用しているうち、菌がこれに対しても耐性を示すようになることがあります。このように多くの薬物に対して耐性を示す菌を「多剤耐性菌」といい、今日よ感染症治療において大きな問題となっています。

薬物耐性が発現する機序分類

(役に立つ薬の情報より引用)

1薬物を不活性化する酵素の獲得
菌が薬物を分解、あるいは不活性化する酵素を獲得して耐性化する場合であり、最も頻度が高い。

2薬物の標的作用点の変化
抗感染症薬が作用していた部位が変化して作用を受けなくなり、耐性化する場合。

3膜変化による薬物取り込みの低下
抗感染症薬の菌体細胞内への透過性が低下することで耐性を示す場合。

4代替酵素の産生
菌が薬物によって阻害される酵素の代替酵素を産生し、耐性化する場合。

ご参考までにどうぞ(^ ^)

「薬剤耐性(AMR)を知ってますか」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU

  • 2018.01.07 Sunday
  • 12:57
細菌やウイルスなどの病原体によって引き起こされる病気のことを感染症といいます。こうした感染症の中で細菌が原因で引き起こされる病気に有効なのが、原因となる細菌などを殺したり、その増殖を抑制したりする働きを持つ抗菌薬です。

1928年フレミング博士がペニシリンという抗菌薬を発見したことにより、様々な感染症の治療が可能となりました。

しかし、1980年以降従来の抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」を持つ細菌が世界中で増えています。世界中で抗菌薬への耐性を持つ様々な細菌が確認されています。このため感染症の予防や治療が困難になるケースが増えていて、今後も抗菌薬の効かない感染症が増加することが予測されます。



薬剤耐性AMR (Antimicrobial resistance)とは
特定の種類の抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなることを薬剤耐性と言います。耐性菌が増えると抗菌薬が効かなくなることから、これまでは感染・発症しても適切に治療すれば回復できた感染症が重症化しやすくなり、さらには死亡に至る可能性が高まります。

薬剤耐性の拡大を防ぐため、抗菌薬は必要な場合に適切な量を適切な期間、服用する必要があります。あらゆるお薬は、医師や薬剤師の指示から外れた使い方をすると十分な効果が期待できません。特に抗菌薬については、こうした不適切な使い方をすると新たな耐性菌が出現するリスクが高まるといわれています。

薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐため、抗菌薬を服用する際は、医師や薬剤師の指示を守って、必要な場合に適切な量を適切な期間服用することが大切です。もしも以前に処方された抗菌薬が残っていても、それを自己判断で飲むことは止めましょう。似たような症状でも、原因となる細菌が異なる場合がありますし、例え同じ細菌だとしても、中途半端な抗菌薬の使用は、耐性菌を増やす可能性があります。

また私たちが日常的に感染しない意識を持って生活することがとても重要です。そのための日ごろから手指衛生の徹底、咳のある時は飛沫を防ぐためのマスクの着用、病原菌に対するワクチン接種を受けましょう。



また医療現場での耐性菌の増加が問題になっています。薬剤耐性菌が健康な人に影響を及ぼすことはほとんどありませんが、免疫が低下した方や高齢者がこれによる感染症を発症すると治療が長引き死に至ることもあります。なかには抗菌薬がまったく効かない細菌もあり、発症しても治療手段がないという可能性もあります。そのため薬剤耐性菌による感染症よる死亡リスクが高くなります。

薬剤耐性菌を作らないこと、感染しないこと、感染したときに周りに広めないこと、薬剤耐性菌と戦える抗菌薬を残しておくことが私たちにできる薬剤耐性の拡大を防ぐことにつながります。

かしこく治して、明日につなぐ 〜抗菌薬をかしこく使ってAMR対策 動画

薬剤耐性対策 世界での取り組み



ご参考までにどうぞ^ ^

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