「薬を飲めない・飲まないを考える」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU

  • 2018.03.14 Wednesday
  • 20:52

患者さんが医療機関を受診したときには、ほとんどの場合薬が処方されます。国内では年間500億円分もの薬が患者さんの体に入ることなく残薬として残っているといわれています。これには、理由はたくさんあると思いますが、大きく分けると「飲まない」「飲めない」の2つに分類できます。「飲まない」理由は主に患者さんやご家族の思いであり、自らの意思で飲まないということです。これには診療時間の短さや患者さん自身の健康理解度が低いことなどが関係していると考えられます。「飲めない」については本当はのみたいのだけれど、身体的問題や環境問題などが飲むことを妨げる状況が想定されます。そのような場合は医師、薬剤師のみならず、各要因に合わせた多職種での取り組みが解決の糸口になることがあります。この「飲まない」「飲めない」の視点から「薬が体に入ってくること」の全体像を考えていきます。 処方された薬がその後飲まれるかどうかは、実は最初がとても肝心です。薬が処方されることに関連する要因を、医療者要因、患者要因、製薬環境要因に分けて考えることができます。これはポリファーマーシーをきたす要因と重なる部分があります。

 

1)医療者要因

医師にとって薬を処方するという行為は基本的な診療行為の1つです。診断がついたときや症状に対処するときに薬を処方しないというのはほとんどなく、診療ガイドラインでも特定の薬の処方を推奨する傾向があります。医師は一般的に非薬物療法について十分な教育を受けていないことが多いそうです。不眠症には本来認知行動療法などの非薬物療法が第一選択として推奨されていますが、日本の医師の多くはそれが実践できないので睡眠薬を処方することになります。 また、医師が製薬産業の影響や金銭的COI(利益相反)の影響を受けやすいこともあげられます。

 

2)患者要因

患者側の要因として処方薬への期待が高いという点があります。とある調査では、2000人中9割が「医師が処方してくれるので安心」「市販の薬よりもよく効く」と回答した結果がでています。また、医師と患者ではそれぞれ薬について着目している点が異なるということがわかりました。医師は薬の服用方法、効能、効果について説明しますが、患者からの質問で多いのは副作用についてでした。医師は薬の効果、患者は副作用に着目していることがわかります。このような薬についての捉え方の違いが処方された薬が飲まれるか否かに関わってくると考えられます。

 

3)対症的な薬と予防的な薬

薬は大きく分けると症状対症的な薬と予防的な薬に分けることができます。対症的な薬は基本的には患者希望が強く比較的アドヒアランスが高く保てることが多い薬です。むしろオーバーアドヒアランスになることもあります。睡眠薬などがその1つです。 予防的な薬は将来起こる可能性のある病気を予防するためのもので、服薬しても目に見えた明らかな効果がわかりにくいので、アドヒアランスを保つことが難しいといわれています。生活習慣病、循環器疾患などに対する薬です。 4)薬の服用方法、重複・不適切処方 服用方法がシンプルであること。職業や社会的背景によっても飲み方は異なり、日中仕事をしている若者や中年層では昼の薬が飲めないこともあります。シフト勤務ではそのシフトに合わせた処方設計をしたりといった工夫が必要です。

 

重複処方というと高齢者のイメージが多いですが実は最も多いのは小児領域です。小児では去痰薬や鎮咳薬などの感冒に対する薬がほとんどです。高齢者の重複で多いのは解熱鎮痛剤、睡眠薬、消化性潰瘍治療薬です。また高齢者になるほどポリファーマーシーの問題も出てくるため処方内容をしっかり把握しなくてはなりません。

 

5)長期処方と分割調剤

薬の処方期間は徐々に増加傾向で、大病院であるほど顕著です。診療所の平均投薬日数は20日なのに対して、500床以上の大病院の平均投薬日数は40日弱と約2倍程度差があります。しかし、処方日数と残薬の相関関係は明らかではありません。また、90日分の処方が出た場合に分割調剤という方法を利用することができます。これは副作用のモニタリングや残薬調整などにメリットがある場合に30日分割して処方できる制度です。患者さんが飲めるようにするために、この制度を利用するのも1つの方法かもしれません。

 

ここまでの前段階の準備がかなり重要です。ここから薬が飲まれる段階に入ります。

 

1)感覚障害・摂食嚥下機能障害・認知機能障害

視力の低下は身体機能低下、QOL低下、転倒、鬱、認知機能低下などさまざまな生活機能に影響します、ラベルが読めない、包装が開けられないなど薬剤の管理も難しくなります。

摂食嚥下機能障害は高齢者特有のアドヒアランスに関連する問題です。飲み込むときが難しいのが口腔咽頭期の嚥下障害です。一方飲み込んだ後が難しいのが食道期の障害です。食道がん、アカラシアなどがあげられます。 特に問題になるのは薬の形状です。嚥下障害がある群では11mmを超える薬では内服困難な患者の割合が増加します。 薬剤による嚥下障害があります。約160種類ほどの薬剤が嚥下障害を起こしているといわれています。具体的に運動神経に影響する薬剤(ドパミン、GABA、セロトニン)、口渇(抗コリン薬)、消化管蠕動機能に影響する(抗精神病薬、抗ヒスタミン薬)、中枢神経系に影響する薬剤(抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系)などがあげられます。

認知機能の問題では認知機能障害がアドヒアランス低下に影響します。記憶障害、遂行機能障害があると薬を飲むという行為が難しくなります。まずは認知機能障害があることに気づくことが大事なポイントになります。

 

2)周囲のサポートと内服できているかのモニタリング

飲むためのサポートが必要な年齢層は主に、小児と高齢者です。サポートできる家族資源が乏しい場合は訪問薬剤師を利用したり、工夫が必要です。周囲の人間が、飲めていないと気づくことが重要です。

 

ご参考までにどうぞ。

「新 抗インフルエンザウイルス阻害薬 キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 バロキサビル マルボキシル錠 ゾフルーザ錠® 」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU

  • 2018.03.07 Wednesday
  • 20:38

国内で使用されている抗インフルエンザウイルス薬ですが、新たにキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬@筑波大学である「ゾフルーザ錠®」(一般名 バロキサビル マルボキシル錠)の薬価が了承されました。

ゾフルーザ錠®」はイナビル吸入粉末剤®と同様に単回投与が可能な薬です。

用法・用量は、発症から48時間以内の経口投与で、成人と12歳以上の小児は20mg2錠、体重80kg以上の患者には20mg4錠。12歳未満の小児には、40kg以上で20mg2錠、20〜40kg未満では20mg1錠、10〜20kg未満では10mg1錠となっています。



(塩野義製薬より引用)

現在まで国内で了承されていた抗インフルエンザウイルス阻害薬は主にノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビル(タミフル®)、ザナミビル(リレンザ®)、ランナミビル(イナビル®)です。

IMG_2630.jpg

ノイラミニダーゼは細胞表面の糖鎖をシアル酸残基の部分で切断する活性を持つ酵素であり、この働きによって新たに作られたウイルス粒子が感染した細胞から、細胞外に遊離されます。ノイラミニダーゼ阻害薬は細胞内でのウイルス粒子の増殖は阻害できませんが、細胞内部で増殖したインフルエンザウイルスの細胞外への遊離を阻害することによってインフルエンザの増殖を抑制します。

では、今回新たに薬価が承認された「ゾフルーザ錠®」キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬はどのようにインフルエンザウイルスに働くのでしょうか・・・

IMG_2628.jpg

(塩野義製薬より引用)


インフルエンザウイルスが細胞へ侵入後、ウイルス増殖に必須なRNA複製過程の最初の反応となるmRNA合成の開始を特異的に阻害します。キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害により、インフルエンザウイルスの増殖に必要なタンパク質合成ができなくなり、細胞内においてウイルス粒子が形成されなくなります。細胞内でのウイルス増殖を阻害できるため、インフルエンザワクチンに対して強い増殖阻害を示すことが期待できるといわれています。

インフルエンザで高熱が出て、すぐに病院を受診して、その場で抗インフルエンザ薬を処方してもらうことができるという国はとても少ないです。日本でそれが可能なのは国民皆保険制度あるからです。インフルエンザを発症してから48時間以内に薬を処方してもらうことができるのは決して当たり前のことではないのです。国民の健康を守るためにつられた制度や恩恵に感謝しなくてはいけませんね・・・。しかしまた、いつでも病院を受診できるからと健康に興味を持たないことも国民皆保険制度の問題です。特に歯科では色々と思うところがありますが。(笑)

日頃から本当の意味で、自分の体を大切にして生きていきましょう。

ご参考までにどうぞ ^^

「認知症とオーラルケア」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU

  • 2018.03.01 Thursday
  • 17:30

2015年の研究データでは85歳以上の約半分が認知症であり、2035年には85歳以上の約6割が認知症を発症すると予想されています。中年期は主に生活習慣病の予防がメインとなり、病気の早期発見・早期治療が大切です。しかし高齢期になると今度は老年症候群@健康長寿ネットの予防がメインとなってきます。そして危険な老化サインの早期発見と早期対処が求められます。

 

認知症の原因疾患ではアルツハイマー型認知症が多い割合を占めます。アルツハイマー型認知症は脳の海馬の著明な萎縮が生じます。

 

認知症に罹患すると現れる症状が中核症状と、周辺症状です。

中核症状は必ず現れる症状です。周辺症状は中核症状にストレスが加わった結果現れる症状と考えられていて、個人差があります。

 

「かかりつけ歯科医」のいる人は長寿なのか? の著者である、星旦二先生の研究によると、かかりつけ歯科医のいる人はそうでない人に比べて生存率の差が出てくること、寿命が伸びるというデータが出ています。

正しい口腔衛生をすることによって、良好な口腔環境ができ、なんでも美味しく食べられる、外出すことが多く、生きがいを感じる、するとQOLが上昇し寿命が伸びるのではないかと考えられています。

 

神奈川大学の研究では、咀嚼能力と認知症発症までの経過を調べたところ、歯がなく入れ歯も使っていない人は、歯が20本ある人に比べて、認知症発症のリスクが1、9倍となりました。

 

とある老人ホームにて、口腔ケアをやっている人はやっていない人に比べて認知機能の低下が異なるという結果が出ています。

 

歯が少ない人は前頭葉の容積が減少している傾向があり、歯が少なくなっったことが脳の働きに影響していると考えられています。咀嚼による刺激が中枢神経の活性化や記憶力の向上に効果があり、噛むという行為が認知症予防に重要な役割を担っていると考えられます。また、入れ歯の使用で脳への刺激を維持できるので、入れ歯を使うことで認知症の発症率を抑えることができると考えられます。

また口腔ケアは、軟組織のマッサージ、咀嚼昨日の回復、唾液の分泌、嚥下のリハビリになります。自分で噛んで食べられるということは人間にとって大きな喜びです。社会性を保つことが食事の多様性につながります。

 

認知症予防には地中海式の食事がオススメだそうです。認知症のリスク因子である、糖尿病の予防にもなります。

 

認知症の人の口腔のトラブルについて

・虫歯、歯周病が増えた

・入れ歯が使えない

・口や喉の力が弱くなった

・顎が外れた(自分で訴えることができないので、そのままのこともある)

自分の異変を的確に伝えられないことが最大の要因です。口腔ケアをするときは本人が理解しやすいようにすることが大切。できることは本人にやってもらうことも大切です。

 

ご参考までにどうぞ ^^

 

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